【空手の稽古は“刀を鍛える工程”】
- 今野佑人
- 9月15日
- 読了時間: 2分
空手の稽古は、まるで“刀を鍛える”作業のようです。
どれか一つでも工程を飛ばしてしまえば、刀は鈍いまま。正しく振ることはできません。
ー白帯の状態ー
最初は誰もが、まだ手入れのされていない、錆びついた脆い刀のような存在です。
空手の修行とは、その刀を一本ずつ丁寧に研ぎ、鍛えていく過程にほかなりません。
ー基本稽古 = 刀を研ぐ作業ー
突き、蹴り、受けといった地味な反復。
しかし、正しく研げば刃は鋭くなり、誤れば鈍くなります。
5年、10年と続ける正しい研ぎ方の積み重ねが、切れ味の良い刀になることでしょう。
ー移動稽古 = 刀を動きながら振る作業ー
止まったまま刀を振れるだけでは、実際には使いものになりません。
移動しながら自在に振れるかどうか。その鍵を握るのが重心移動です。
ー型 = 振り方を型に当てはめる作業ー
型は、理想的な斬り方の“設計図”。
ただ形をなぞるのではなく、仮想の相手を強く意識し、
そこに正しく斬り込めるかどうかが重要です。
ー組手 = 刀の切れ味を試す作業ー
自分の刀の切れ味が、実際の場面でどこまで通用するのか。
ここで露わになるのは、積み重ねてきた稽古そのものです。
いくら豪快に振ってみせても、刀が研がれていなければ、それはただの鈍刀にすぎません。
どれほど力があっても、型がなければ技は定まらず、移動ができなければ相手に力は伝わらない。
すべては、“研ぎ”から始まるのです。
基本稽古こそが、空手という刀を鍛えるうえで最も重要な工程です。
この教えは、私の師である成嶋竜師範から受け取った、大切な学びです。
そこには、技術を超えた本質がありました。
そして今、私はこの教えを、次の世代へとしっかりと伝えていきたいと思っています。
空手は、技を学ぶ場ではない。
生き方を磨く場である。

KWU SENSHI JAPAN 札幌道場
道場主 今野佑人
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