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乳酸の理解とその活用法― エネルギー供給系の最新知見

「乳酸がたまると疲れる」「乳酸は筋肉の敵」というイメージは、まだ多くの人に残っています。


しかし近年の研究では、この考え方は誤解であり、乳酸はむしろ運動のパフォーマンスを高めるために欠かせない代謝産物であることが明らかになっています。


ここでは20〜30代アスリート向けに、乳酸の正しい理解と活用法を整理します。


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⸻乳酸は悪者ではないかつては「乳酸が蓄積すると筋肉のpHが下がり、筋力が低下する」と考えられていました。


ただし、この説の多くは実際の体温とはかけ離れた条件下での実験に基づいており、現実の運動環境では当てはまりにくいことが分かっています。


実際の体温に近い条件下では、乳酸が増えても筋力の低下はほとんど起こりません。つまり、乳酸は単なる疲労物質ではなく、体内で再利用される重要な燃料なのです。


乳酸が効率よく使われることで脂肪燃焼も促進され、ダイエットにも好影響を与えることがわかっています。



⸻乳酸シャトルの仕組み乳酸は主に速筋線維で作られます。


その後、血流を介して他の筋線維や臓器に運ばれ、エネルギー源として再利用されます。


この仕組みを乳酸シャトルと呼びます。運動直後に「軽く歩け」と指示されることがありますが、これは筋肉の収縮と弛緩によるポンプ作用を利用して乳酸の輸送を促進し、必要な場所での再利用を高めるためです。


完全に座り込むよりも軽い運動を取り入れた方が、次の動きへの回復が早まります。



⸻「乳酸を素早く作れる」ことが強さになる乳酸は溜めない方が良いのではなく、「素早く作り、素早く使える」ことが競技力向上に直結します。


例えば400m全力走のような高強度運動後、短距離型の選手は乳酸の立ち上がりが早く、それだけエネルギー供給の流れを迅速に回せる適応を持っています。多くの乳酸を生成できる能力は、単に疲労の指標ではなく「強度の高い動きを繰り返す力」を意味するのです。



⸻インターバルトレーニングと休息時間の設計インターバルトレーニングでは、休息時間の長さが乳酸の働き方を左右します。


30秒全力走を繰り返す場合、休息を30秒にするか60秒にするかで乳酸の動態は変わります。


•回復力の高い選手は、短い休息でも次の反復で高い強度を維持でき、乳酸を効率的に生成・利用できます。

•一方で、回復が追いつかない選手は短い休息では出力が落ち、乳酸も十分に作られません。少し長めの休息を入れることで強度を保ち、乳酸をうまく活用できるようになります。同じメニューでも、選手のレベルや体質によって適切な休息時間は変わるのです。



⸻乳酸作業閾値とパフォーマンス運動強度を上げていき、血中乳酸が一定以上になるポイントを乳酸作業閾値と呼びます。


これは「糖の利用が優位になり始める地点」を意味し、持久力やレースパフォーマンスに直結します。マラソンのような長距離種目では、この閾値の速度が高いほど記録向上につながることが知られています。


定期的に評価してトレーニングに反映することで、効率よく走力を高めることができます。



⸻怪我からの復帰と乳酸の役割乳酸の反応は、競技動作の特性にも左右されます。


自転車でのトレーニングからランニングに復帰する過程では、同じ速度でも乳酸の動員の仕方が変わり、有酸素系の寄与が増えていきます。


乳酸の動態をモニタリングすることで、回復度合いや競技特異性の適応を確認することができ、段階的な復帰をサポートできます。



⸻まとめ


•乳酸は疲労物質ではなく、再利用される燃料

•乳酸シャトルにより全身で活用される

•乳酸を素早く作り使える能力が強さの指標

•インターバルトレーニングの休息は個人差に合わせて設計

•乳酸作業閾値は持久力と直結する重要な指標

•乳酸の代謝を高めるトレーニングは脂肪の燃焼効率を上げ、ダイエット効果を引き出すうえでも有効乳酸を正しく理解することは、トレーニングの質を変える第一歩です。


「乳酸は敵ではなく味方」。


そう捉えることで、あなたのパフォーマンスはさらに進化していくでしょう。


パフォーマンスコーチ井波綜護


【パーソナル×ピラティス×栄養指導】88-Performance.

札幌市西区琴似四条7丁目2-11サッソンビル1階

0115900725

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