朝食を抜くと貧血になる?
- 今野佑人
- 7月1日
- 読了時間: 5分
― 若い女性に増える“隠れ鉄欠乏”と食習慣の落とし穴 ―

「ダイエットのために朝ごはんは抜いています」
「朝は食欲がないのでコーヒーだけ」
そんな方が周りにいませんか?
あるいは、あなた自身もそうかもしれません。
実は今、「朝食欠食」と「鉄欠乏」の間に密接な関係があることが、国内の研究によって次々と明らかになってきています。
今回のテーマは、若い女性に多い“潜在的な鉄欠乏”と朝食欠食の関係について。
知らず知らずのうちに進んでいく「低フェリチン(隠れ貧血)」の正体と、その背景にある日常的な食習慣を解説します。
ー朝食を抜いている人は、どれくらいいる?
厚生労働省の国民健康・栄養調査(令和元年)によると、20〜30代の女性では約20%(5人に1人)が朝食をとっていないという実態が報告されています。
朝食を欠食する理由はさまざま
ダイエット目的
朝の時間がない
食欲がわかない
胃もたれが気になる
しかし、この“たった1食の欠食”が習慣になることで、私たちの体には想像以上の影響を与えているのです。

【研究紹介】朝食欠食と鉄欠乏の関係
2023年、早稲田大学から発表された研究では、働く若年女性における朝食欠食と鉄欠乏の関連性が取り上げられました。
この研究では、朝食を食べるグループ(以下:摂取群)と、朝食を食べないグループ(以下:欠食群)を比較し、栄養摂取量や血液データ、体組成の差異が調査されています。
以下に、いくつかの注目データを紹介します。
【摂取量の差】朝食を抜くと栄養が“減る”
朝食摂取群と朝食欠食群の、1日の平均栄養摂取量の違いは以下の通りです。
総摂取カロリー:摂取群 1783 kcal / 欠食群 1508 kcal
たんぱく質:摂取群 64 g / 欠食群 52 g
糖質:摂取群 229 g / 欠食群 191 g
鉄:摂取群 6.4 mg / 欠食群 5.7 mg
鉄だけでなく、たんぱく質や糖質なども不足傾向にあることが分かります。
この“微差”が毎日積み重なることで、大きな健康リスクへと発展する可能性があるのです。
【血液データの差】貧血リスクが倍増?
血液検査の結果でも、欠食群には明らかな低下傾向が見られました。
ヘモグロビン(Hb):摂取群 14.1 g/dL / 欠食群 13.2 g/dL
MCV(平均赤血球容積):摂取群 92.0 fL / 欠食群 89.2 fL
血清鉄:摂取群 95 μg/dL / 欠食群 78 μg/dL
フェリチン:摂取群 43 ng/mL / 欠食群 20 ng/mL
AST:摂取群 18 U/L / 欠食群 17 U/L
ALT:摂取群 14 U/L / 欠食群 11 U/L
特にフェリチンは、欠食群で約半分の値に低下しており、鉄を貯蔵する力が大きく損なわれていることを意味します。
「朝食を抜いても痩せない」は本当?
体格データには以下のような結果が出ています。
体重:摂取群 51.7 kg / 欠食群 52.0 kg
身長:摂取群 158 cm / 欠食群 160 cm
BMI:摂取群 20.6 / 欠食群 20.2
体脂肪率:摂取群 28.7% / 欠食群 27.5%
朝食を抜いても体重や体脂肪率には明確な差が出ていないことが分かります。
つまり「朝食を抜けば痩せる」は思い込み。栄養不足と体調不良だけが残るリスクの高い習慣なのです。
ー“分解”が進む体内。朝食欠食の見えない代償
朝食を抜くことで、体はエネルギー不足に陥り、「糖新生」と呼ばれるプロセスで糖を作り出します。
これは、筋肉などのたんぱく質を分解して糖に変える仕組みです。
これにより、鉄の運搬や貯蔵に関わるヘモグロビンやフェリチンといった「たんぱく質」も分解され、血中濃度が低下する可能性があります。
つまり、鉄が「摂れていない」だけでなく「壊されている」ことも、鉄欠乏を加速させる一因です。
ー朝食を抜く=鉄が摂れない+分解される
朝食欠食がもたらす悪影響は、次の2点に集約されます:
摂取機会の減少による栄養不足(鉄・たんぱく質・ビタミンなど)
エネルギー不足によるたんぱく質分解(糖新生の亢進)
これらが習慣化すれば、貧血・免疫力低下・肌や髪のトラブル・集中力の欠如など、あらゆる健康リスクを高めてしまいます。
ー鉄欠乏の初期サインを見逃さないために
以下のような症状がある方は、鉄不足や朝食欠食の影響を疑ってみましょう。
疲れやすい/立ちくらみがある
爪が割れやすい/抜け毛が増えた
朝が起きにくい/集中力が続かない
気分が不安定/頭がぼーっとする
ー忙しい朝でもできる“朝食習慣”
時間がない人でも始められる、シンプルな朝食例:
ゆで卵+玄米おにぎり+味噌汁
プロテインドリンク+バナナ
シリアル+ヨーグルト+ナッツ
前夜のスープ+雑穀パン+チーズ
鉄やたんぱく質を含んだ「簡単だけど意味のある一食」を意識することが大切です。
ーおわりに:食べる時間を変えると、身体が変わる
朝食は「ただの習慣」ではありません。
それは、身体を守り、回復させるための最初のスイッチです。
栄養素を“何を食べるか”だけでなく、“いつ、どう食べるか”まで考えること。
それが、これからの栄養指導には必要です。
パフォーマンスコーチ/今野佑人
ー札幌で食習慣・栄養指導が受けられるジムー
【パーソナル×ピラティス×栄養指導】88-Performance.
札幌市西区琴似四条7丁目2-11 サッソンビル1階
地下鉄琴似駅から徒歩10分/駐車場2台/営業時間7:00〜22:00
「札幌パーソナルジム」「琴似パーソナルジム」「札幌ピラティス」「姿勢改善」「自律神経」「美容」「鉄欠乏対策」「栄養指導」などの目的で多くの方がご来館されています。
体験トレーニング・栄養カウンセリングのご予約は
Comments