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強い突きは「力み」では生まれない。



世界トップ打撃選手の筋電図が示した“ダブルピーク”という事実。



空手の突きにおいて、

「しっかり握り込め!」

「力込めて押し込め!」

という指導は、長く行われてきました。



しかし近年のバイオメカニクス研究は、

強い打撃ほど“力み続けていない”

という事実を示しています。



その代表例が、

世界トップレベルの打撃選手の筋電図に見られた

〝ダブルピーク〟

という現象です。





ソースとなった一次論文


この知見の元になっているのは、

カナダの脊柱バイオメカニクス研究者として世界的に有名な

スチュアート・マクギル博士(Stuart McGill) らによる論文です。



この研究では、

エリートMMAファイター(世界レベル) を対象に、

パンチなどの打撃動作中の

・筋電図(EMG)

・動作解析

を同時に計測しました。





〝ダブルピーク〟とは何か?



論文で確認されたのは、

打撃動作中の筋活動が


① 一度強く出る

② いったん下がる

③ インパクト直前にもう一度強く出る


という

二つの山(=ダブルピーク)

を示すことでした。



重要なのは、

「ずっと最大収縮しているわけではない」

という点です。





研究者の解釈



マクギルらはこの現象を、

次のように整理しています。



第1ピーク:動作開始時の“土台づくり”


・突きを出す直前

・体幹、股関節まわりの筋群が一瞬しっかり入る

・身体を「一つの塊」にまとめ、力を伝える準備をする



これは

姿勢と軸を一瞬で整えるフェーズ

と解釈されています。



中間フェーズ:あえて“抜く”



・腕や拳を加速させる局面

・不要な緊張は一度下がる

・スピードを最大化するための「緩み」



ここで力み続けると、

動きは逆に遅くなります。



第2ピーク:インパクト直前の“全身ロック”


・当たる直前〜直後

・体幹や関連筋が再び強く活動

・衝突の瞬間に身体全体が剛体化


これにより、

拳だけでなく「体重と運動量」が打撃に乗る

と説明されています。





これは空手の突きとどうつながるのか?



空手の突きにおいて、

感覚的に理解している指導者は

「最初と最後だけ力を入れる」

といった声掛けをしていることがあります。



ダブルピークの考え方は、

こうした伝統的な感覚を

科学的に裏づけたもの

と捉えることができます。



空手的に言い換えるなら


・最初の締め:立ち方・姿勢・軸を整え、動作を発動させる

・途中で抜く:突きを走らせ、スピードを最大化する

・最後の締め:骨を並べ、必要な部位のみを瞬間的に締める



つまり、

オン → オフ → オン

という身体操作です。



「ずっと力を入れろ」ではなく、

入れる瞬間を間違えるな

という話です。



補足すると、

実際の身体操作は

オフ → オン → オフ → オン

と考える方がより正確です。



リラックスした状態からは力を生み出しやすく、

最初から力んだ状態では、

かえって力は発揮しにくくなります。





少年部・初心者指導にも重要な視点



力み続ける突きは、


・スピードが出ない

・肩や肘を痛めやすい

・身体が硬くなり、成長を阻害する


といったリスクがあります。



一方で、

ダブルピーク型の動きは


・速く

・強く

・身体を壊しにくい

・エネルギーの省エネ


という特徴を持ちます。



これは

将来まで見据えた空手指導

において、極めて重要な考え方です。





科学は「空手を否定するもの」ではない



この研究が示しているのは、

空手の感覚が間違っていた、という話ではありません。



むしろ、

・「当たる瞬間に締める」

・「力み過ぎない」

・「無駄な力を使わない」

といった

武道的な身体感覚が、科学によって可視化された

と見る方が自然です。





まとめ



・世界トップレベルの打撃選手の筋電図には、

 ダブルピーク(2回の筋活動の山) が確認されている。



・これは

 収縮 → 弛緩 → 再収縮

 という高度な身体操作を意味する。



・空手の突きにおける

 「締め」「極め」「当たりの制御」 という考え方は、

 この現象と非常に整合性が高い。



・力み続ける打撃ではなく、

 入れるべき瞬間にだけ入れる。

 それが、速く、強く、壊れにくい突きにつながる。



これらの技術は

〝基本稽古〟や〝移動稽古〟でしっかり意識し、

身に付けていきたいですね。



極真世界連合戦士 札幌道場

道場主:今野佑人

TEL:011-590-0725

住所:札幌市西区琴似四条7丁目2-11 サッソンビル1階


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