血糖コントロールに“自律神経”が関わる理由とは?
- 今野佑人
- 6月17日
- 読了時間: 4分
― 運動指導者が知るべき神経・栄養・ホルモンからのアプローチ
―血糖コントロールの重要性は、今やアスリートに限らず、一般のクライアント指導でも常識となりました。特に運動後の回復、減量、集中力維持など、あらゆる目的において血糖の安定は欠かせません。
しかし、食事内容を整えただけでは血糖が安定しないケースがあるのも事実です。
なぜ、栄養指導だけでは改善しないのか?
その答えは「自律神経」にあります。
本記事では、血糖と自律神経の科学的なつながりを解説し、運動指導者が現場で使える実践知をまとめてお届けします。

⸻血糖とは、ホルモンと神経に支配された “繊細なシステム”
血糖値は、糖質の摂取量だけで決まる単純なものではありません。
インスリンやグルカゴンといったホルモン、さらにそれらの分泌を司る「神経系」が深く関わっています。
特に重要なのが、脳と膵臓の双方向的な神経ネットワークです。
• 副交感神経が活性化すると膵臓からインスリンが分泌される
• インスリンやGLP-1(消化管ホルモン)は脳にフィードバックを送り、副交感神経をさらに活性化する
つまり、「自律神経のバランス=インスリン分泌のコントロール」なのです。
⸻“栄養指導では改善しなかった”実際のケースある30代女性クライアント。
主訴は「午後に眠気が強い」「運動するとすぐ疲れる」。
リブレによる持続血糖測定では、昼食後の血糖が急上昇したのちに急降下。
典型的な機能性低血糖です。
まずは糖質量やGI値の見直し、血糖の安定などの基本的な栄養指導を行いましたが、大きな変化は見られず。詳しく聞いていくと、平日は毎晩3時間しか眠れず、夜中のスマホ使用も常態化。
ここに「自律神経の乱れ」が強く疑われました。
その後、睡眠環境の改善と夜間のデジタルデトックスを導入し、血糖変動が明らかに安定。
疲労感も軽減し、栄養指導の効果がようやく発揮され始めました。

⸻交感神経優位がもたらす “神経性インスリン抵抗性” 交感神経が過剰に優位になると、身体は常に「戦闘モード」に入ります。すると次のような変化が起こります。
• 副交感神経が抑制され、インスリン分泌が低下
• グルカゴン(血糖を上げるホルモン)が過剰に分泌
• 結果として、糖を摂っても血糖が下がりにくくなるこのような状態は「神経性インスリン抵抗性」と呼ばれ、栄養指導では太刀打ちできません。
その根本には、自律神経系の過緊張と可塑性の低下があるのです。
⸻運動指導者に求められる“神経×栄養”の統合的視点こうした背景を踏まえると、血糖を安定させるために運動指導者が担うべき領域は明確です。
• セッションの前後で副交感神経を刺激する要素を取り入れる
• リカバリーを意識した糖質補給のタイミングを見直す
• 睡眠・ストレスの聞き取りを行い、栄養指導の効果を最大化するこれらは、従来の「栄養士に任せる」だけの時代から脱却し、運動×栄養×神経を統合した次世代型アプローチへと進化させる鍵となります。
⸻実践ポイント:自律神経に介入する運動と栄養の連携
セッション冒頭での呼吸トレーニング
• 鼻呼吸・腹式呼吸で副交感神経を誘導
• HRV(心拍変動)向上により神経バランスを整える
運動後の糖質補給で神経系をクールダウン
• インスリン+GLP-1刺激による副交感神経活性化
• 例:果物+たんぱく質+発酵食品の組み合わせ
ストレス対策としての栄養指導
• マグネシウム:神経鎮静化、筋緊張などで睡眠サポート
• ビタミンB群:交感神経優位時のエネルギー代謝サポート
• プロテイン:神経伝達物質の材料確保
⸻クライアント指導に“神経”の視点を取り入れるべき理由実際の現場では、
「なぜこの人は良くならないのか?」という壁にぶつかることがあります。
その多くは、神経系にアプローチできていないことが原因です。
血糖コントロールがうまくいかない場合、単に糖質の量を減らすのではなく、
• 自律神経の働きをどう整えるか?
• 神経と連動した栄養戦略がとれているか?この視点こそが、運動指導者に求められる“次の一手”です。
⸻おわりに:血糖とは、見えないストレスの“鏡”である血糖は、
単なる栄養指導では制御できない時代に入っています。
それは、神経・ホルモン・睡眠・ストレスといった、より全体的な生体の連携系を理解することが求められるからです。運動指導者が自律神経と血糖の関係を理解し、実践に取り入れることで、
「どこに行っても良くならなかった人」を助けられる可能性があります。
あなたの指導が、血糖コントロールを超えた“人生の質の改善”へとつながることを願っています。
パフォーマンスコーチ/今野佑人
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